恵那の食に挑戦する 料理人

岡田 修さん

日本料理「おか田」

  • 料理人

 

恵那市街地から少し離れた長島町に佇む日本料理「おか田」。

長寿のお祝いや誕生日、記念日など、人生の節目や大切な日に訪れる人が多く、和モダンな雰囲気の個室で、季節に合わせた会席料理を提供しています。

 

また恵那・中津川市で活躍する料理人には、岡田さんの下で修行を積んだ人も多くいらっしゃいます。

料理長の岡田修さんに、恵那の食への思いを伺いました。

 

 

ー岡田さんは、いつからお店を始めたんですか?

 

お店自体は10年になりますね。

僕は出身は阿木で、それから名古屋、岐阜の方で勉強して戻ってきました。

かんぽの宿恵那で料理長をやってから独立してこのお店を立ち上げて、最初は中津川市の坂本にありましたが3年前ここに移転しました。

 

 

ー大切にしていることはなんですか?

 

料理もですけど、来ていただいている時間を楽しんで喜んでいただくのが一番だと思っています。

 

そのために、お客さんの好みを聞いてメニューを変えたり、サプライズの演出をしたりしています。

同じものを出し続けて怒るお客さんはいませんが、それでは期待を超えることはできません。それでは喜んでもらえないので、好みを把握したりとか、料理が残っていたら、この料理が嫌いなのかなとメモしたりするようにしています。

 

 

ー使っている地元の食材はなんですか?

 

父親が作ってくれたものや、知り合いの農家さんの野菜や、瑞浪のボーノポークとか、山岡の山きんとんなどのお肉や、イワナや鮎のような川魚を使っています。

地元で全ての食材が揃うわけではないですが、まだ全ての生産者の方や食材を把握できているわけではないので、これから盛り上げていきたいと思います。

 

 

 

ー地元食材を積極的に取り入れていらっしゃる理由を教えてください。

 

恵那中津エリアの10人くらいのオーナーシェフが集まった「恵庖会」というグループで、お店持ち回りで食事会をしたりとか、街を歩いたり食材を研究したりしているんですが、やっていて分かったのは「よその真似をしても勝てない」ということです。

 

「いかに自分たちらしいものを作るか」を考えた時に、地元の食材を知り尽くして料理を作れば、恵那市とか中津川市とか東濃らしいものができるんじゃないか、と思ったんです。積極的に地元のものをというのは、前よりみんな意識的にやっていますね。

 

生産者さんがこだわって作ったものにはそれなりの良さがあるので。生産者さんがいいものを作ってくれれば、僕たちも積極的に使いたいです。

そのためにも、生産者の方と徐々に繋がりながら、僕らから食材を提案できるといいといいですね。

 

僕らのような小さなお店は一度に沢山の食材を使えないので、仲間で一括で買ってみんなで分けようとか声をかけながら、生産者の方にも勉強してもらって少しでもいいものを作ってもらって、相乗効果で良くなっていければ一番いいですね。

 

それから、生産者の方と知り合うのは料理人にとっても勉強になります。

去年は、落花生の生産者の方と知り合って、実際に現場に行って、掘るところからやらせてもらったんですが、僕らも「これ掘ってきたんですよ」と物語としてお客さんに伝えたり、落花生ってこんな風なんですよ、って話もおまけでできるんですよ。

 

食材のことも勉強できて、新しい料理法も教えてもらえるので、料理人にとってもメリットは大きいと思います。

 

 

ーこれから恵那の素材がより広まっていくために、どんなことが必要だと思いますか?

 

地元の生産者を持ち寄る直売所のような大きなものが拠点としてあったらいいですね。

 

足らない食材は、他の市から入れてもいいと思うんですが、ただ安いからって入れてしまったら、地元のものが売れなくなってしまいますよね。

 

市場の競りでは、皆さんできるだけ安く買おうとするんですが。そうすると生産者は生きて行けないので、生産者の言い値で売れるところを作らないといけないと思います。

 

生産者の人が生きて行けなかったら僕らも困るし、誰かが得して誰かが損している仕組みでは成り立たないんです。

 

僕らも安く買えた方が利益が上がるんでいいですけど、それは続かないですよね。僕らも喜べて生産者の方も喜べてお客さんも喜べたら、それが一番いいことだと思いますね。

 

 

 

ーこれからどんなことをやっていきたいですか?

 

恵那を食の街にするために、僕らのできることはやろうと思っていますが、料理人が頑張るだけじゃなくて、市民全体が食に興味がないと、食の街にはならないと思っているので、そういう土壌を作っていきたいです。食事は食べる方も作る方も経験なので、いい経験をすれば食にもっと興味が湧くと思います。

 

そのために、お母さんたちの教育ができたらいいですね。

例えば、食材のうまみがあるのに、調味料をたくさん入れちゃうと、食材の味なのか、調味料の味なのかが分からなくなってしまいます。

その状態で「食に興味を持て」と言っても無理なので、出汁をしっかりとって料理を作ることで、調味料がなくてもこんなに美味しんだ、野菜の味ってこんな風なんだっていうのが分かるといいと思います。

 

また、女性の方も時間がない中で毎日家族のために料理を考えて大変だと思うので、子供さんにも「お母さんたちこんなこと考えて作ってるんだよ」って伝えることで、苦労を知ってもらったり、そこから食に興味を持ってもらえたりしたらいいですね。

 

10歳の子供が20歳になる頃にこういう食事がいいんだよと言えるような食の街になるためには、そういうところから10年20年かけて取り組むことが大切です。

 

そしてそのためには、僕らだけで頑張ってもダメだし、生産者だけでもダメだし、食べる側もやっぱり横一列になってみんなが手をとって全てが繋がっていけたらいいとお思いますし、食に興味を持って、僕らの世界にとびこんでくれる人がいると嬉しいですね。

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