NPO法人恵那市坂折棚田保存会
田口 譲さん
農業人
おかさげ農園
全国的に有機農業への関心が高まりつつありますが、恵那市にもそんな農法を選んで栽培されている農家さんがいらっしゃいます。
中野方町に2012年に家族で移住され、まちづくりに従事する奥さんとともに、慣行農法ではなく循環を大事にする農法で無農薬で野菜を育てられている大江栄三さん。
地域の文化とともに生きることを大切に農業を営むおかさげ農園さんのお話を伺いました。
ー大江さんが作っている作物について教えてください。
「いまうちでは全部で6-7反くらいの面積を、水稲、エゴマ、野菜でそれぞれ2反ずつくらいで分けて栽培しています。エゴマは2反でエゴマ油110gが300から500本分ほどになり、小売りをしています。野菜は「旬の野菜セット」でお客様に宅配で提供しています。
ですのでトマト、ナスといった野菜からダイズなどの豆類、葉物までたくさんの種類を育てているんです。
水稲はほとんど自家用ですが、無肥料栽培しています。黒米も作っていて、こちらは販売しています。」
ー移住されたということですが、農業に興味を持った理由は何ですか?
「実は僕の専門はもともと農学なんですが、そのなかで生態学をやっていました。自然環境に興味がありましたので、30歳すぎまで植生管理の計画をたてるコンサルティング会社に勤めていたんです。
でも当時の生態学は、本当に動植物のことしか考えていなくて、自然とともに暮らしている「人間」のことがポーンと抜け落ちているんですよね。
人が自然の中で、どのように関わり生きてきたのかをもっと知りたいと思うようになり、民俗学を学ぶようになり、仕事も地域の文化の保全を考えるような会社に転職。
仕事やライフワークで、いろいろな田舎へリサーチに行くうちに、「田舎の人の生き方ってダイナミックだな」と思うようになりました。
あるおじいさんに、「今の奴らはつまらん。ひとつのことしかようやらん」と言われ、畑から狩猟からカゴ作りなど暮らしに関するすべてを網羅するその方の生き方がものすごく輝いて見えたんです。
それから、僕も田舎に暮らしながら、百姓として生きていけるようになりたいと思えて。
それから紆余曲折あり中野方町に移住する運びとなりました。」
ーエゴマを栽培されていますが、エゴマを育てたい!と思う理由は何ですか?
「もともと、エゴマに興味を持ったのも文化的視点からでした。実はエゴマは東アジアで非常に古くから栽培されてきた作物で、日本でも中世までさかんに作られていました。
エゴマ油は昔は灯油として使われ、夜の灯りになっていたんです。とても貴重ですよね。
お米づくりに適してない中山間地で、さかんに栽培れていて、恵那でも数十年前まで作られていたようです。
そんな歴史への興味からやってみたかったエゴマ栽培ですが、オメガ3脂肪酸のαーリノレン酸含量が高く、とても体にいい油であるということを知り、これは広めていきたいなと思っているところです。」
ー作物を育てる中で、工夫していることやこだわっていることはありますか?
「僕は植物の「生命力」を最大限に引き出したいと思っています。野菜や人間を含め生き物は、肥料や薬がなくても生きていける、生命力あふれる存在だと思います。
山の木は肥料を与えずとも大きく育ちますからね。
そういった植物の生命力を高める方法として、うちでは無肥料栽培にだんだん転換していっています。
有機物マルチを置いて、それを菌や虫などが分解することで土壌生態系の生物多様性が向上して、土の中に無限の関係性が生まれます。
この複雑な関係性の中で、生命力あふれる強い野菜がはぐくまれるのだと思います。」
ーこれから挑戦したいことや、夢を教えてください。
「僕は「知行合一」という言葉が好きなのですが、いままで学んできた自然環境や文化的な知識を、これからは学ぶだけでなくどんどん実践していきたいです。狩猟をしたり、山仕事したり、野良仕事したり、昔の人が当たり前にしてきたことを実践して百姓になりたい。
あと現実的なところでいうと加工所をつくって、野菜の余すところなく販売につなげたいですね。
野菜は今は春夏秋しか出荷していないので、ハウス栽培で通年出したいという思いもあります。
とにかく「生活を編む」ように、知識と実践を繰り返しながら、自分の足でたくましく生きていきる百姓になりたい、これが一番の想いですね。」
【販売情報】
*「旬の野菜便」3000円程度(税込・送料込み)
※発送不要の方は送料分を割引/定期購入で1便50円割引
*えごま油110g 2000円(税込)、送料500円~
※まとめ買いで割引します(5本以上)
農業体験もおこなっています
住所:〒509-8231 恵那市中野方町4149-1
電話:0573-32-1249、080-3635-4149