2024.11.25
オーガニック料理教室を開催します
2021年6月14日
むかしから、朴の葉は香りがよいこと、大きく包みやすいことから、暮らしの中で親しまれてきました。
「朴葉寿司は、おばあちゃんが作ったものをもらって食べたことがある」
そんなお子さんは恵那には多く、うれしい旬の郷土料理です。
おばあちゃんが作ったものでも、どこか他からのいただきものでも、ひとつとして同じ朴葉寿司はなく、まさに一期一会の郷土食!どんなトッピングがされているかと開けるときのワクワク感はたまりません。
でも、今どきの家庭ではなかなか作って食べることは少なくなりました。
朴葉が手に入らない、昔ながらの具材は子どもが食べたがらないなど理由はいろいろありますが、やっぱり自分で作って食べてみたい朴葉寿司!
今どきのキッチンツールにあわせたレシピで、気軽に、親子で体験できる教室を“えなえーる”で開きました。
小さな会場ですが、今どきの家庭のキッチンと同じ調理器具を使い、進行担当者とも距離が近く、アットホームな雰囲気で参加者もすぐに馴染むことができます。
今回は小学校低学年のお子さんがいらっしゃる親子2組が参加されました。
始まりは、恵那の朴葉寿司にまつわるお話を簡単に。
朴葉寿司はどんなときに作られてきたの?他の地域でも作られているの?なんで恵那の朴葉寿司は他と比べてこんなに華やかなの?
今はどこで、どんな人が作っているの?
そんなことをお話ししたあとは、おうちに帰っても作れるように、簡単な寿司飯の作り方と、これまたハードルの低い錦糸卵の作り方をご紹介しました。
今まで、おばあちゃんのおうちでは、米1升を炊いて大きな寿司桶を使い寿司酢を混ぜて作っていました。
米1升を炊いた朴葉寿司を作ると全部で40個ほど出来上がり、だからおばあちゃんたちは親戚やご近所さんに配ることができたんですね。でも、小さなお子さんを育てる家庭で米1升を炊くのは気軽にはできませんし、寿司酢を買ってきても使い切ることなく冷蔵庫にしまったままだったりします。
そこで新しいスタイルで郷土食を作る提案として、米5合で20個くらいの朴葉寿司が作れる量にし、寿司酢も自分で簡単に作って使いきれる分量、大きな寿司桶もいらないレシピをご紹介しました。
あわせて、ちょっとハードルが高いなと思われがちな錦糸卵もカンタンに作れるレシピもご紹介。
お母さんから「なるほど~」「それでいいのね」の声もいただき、これでおうちでも作ってみようと思っていただけたはず。
今回作る朴葉寿司の具材は、シーチキンの甘辛煮、ソーセージ、錦糸卵、えび、さくらでんぶ、紅ショウガの6品目です。おばあちゃんからもらう朴葉寿司とちょっと違うのは、ソーセージがのってるところ。
これは、恵那の朴葉寿司の魅力をもっと広めようと立ち上がった「恵那の朴葉寿司プロジェクト」の発案で、小さな子どもに人気の具材を集めた「進化系朴葉寿司」のアイデアを取り入れたものです。
ソーセージは寿司飯にも合うし、朴葉の香りも邪魔しません。
小学1年生でも喜んでくれるかな~?
さて、いよいよ朴葉寿司を作っていきましょう!
恵那の朴葉寿司は、田んぼ仕事が終わった6月の上旬ごろ、田の神さまに朴葉寿司をお供えして豊作を願いました。また、集落ごとに「農休み」を設けて、その日は朴葉寿司を作る日と決め、農家の主婦が集まって作ったりする風習もありました。
それは、自然とともに暮らす農業者にとって大切な行事食であり、一年を農業の暦に沿って生活していた時代に生まれたハレの食事でした。
また、大きな朴葉は抗菌作用もあり包みとしても最適で、野山で食べ終わったあとに葉っぱはそのまま捨てれば土に還り、携帯食にももってこいのお弁当なのでした。
農業が生活の基盤だった時代から少しずつ変化し、市街地との交流が盛んになった昭和40年代ごろから恵那の朴葉寿司は華やかな色合いの具材や野山では手に入らないような具材で作られるようになり、緑の大きな葉っぱにのった朴葉寿司は恵那の初夏を感じさせる風物詩として恵那の名物になりました。
どこの家庭でも朴葉寿司は作られ、今では飲食店さんが作る特別な朴葉寿司を買うことができるようになりました。
恵那の野山では、まだまだ朴の木はどこにでもあります。
持ち主の方にお願いすれば、朴の葉っぱを分けてもらうこともできるでしょう。
せっかく恵那に住んでいるんですから、恵那の朴葉寿司、我が家ならではの朴葉寿司を作って楽しんでみてはいかがでしょうか。