2024.11.25
オーガニック料理教室を開催します
2022年4月28日
4月23日、恵那市「発酵のまちづくり」推進講演会として、発酵学の権威である小泉武夫先生の発酵食文化セミナーが行われました。
当日は120名の参加者があり、小泉先生が繰り広げる発酵についての分かりやすい説明やユーモア溢れる語り口に、会場からは笑い声と驚嘆のため息が漏れていました。
せっかく小泉先生が恵那市にいらっしゃるのなら特別なおもてなしをしたい!と考え、当日の昼食会には、恵那市笠置町にあるみかさぎ麹屋の和田友美さんによる、恵那市の食材と発酵食品がふんだんに使われた料理「恵那のごはん」が用意されました。
和田さんは、上級麹師で、国際中医薬膳師でもある麹屋さんです。市内で発酵料理や身体に優しい料理を紹介する講座をいくつも開催されており、初心者でも分かりやすい説明と美味しい料理が大好評で、ファンも多くいらっしゃいます。
その昼食会のメニューは、参加者の想像をはるかに超える特別なものでした。
みかさぎ麹屋特製の甘酒から始まり、恵那市ならではの料理が次々に提供されました。それらひとつひとつにストーリーがあり、どれも郷土の食文化を伝えるものばかりです。
小泉先生は「恵那市の食文化遺産としても良いほどの感動!」と仰っていました。
▲ 当日のおしながき。和田さんの直筆
▲ 中央は雀の麹漬け。その右にあるのは恵那市飯地町のスルメの麹漬け。左下は三浦豚のたまねぎ塩麹焼き・発酵マスタードソース添え。右上は小いた園のしいたけの丸焼き・醤油麹添え。左上は恵那どりの塩麹鶏ハム。料理に趣を添える青かいしき(木の葉や笹)もすべて恵那市内で採れたもの
「雀の麹漬け」「スルメの麹漬け」
昭和初期まであった渡り鳥のカスミ網猟。海から遠い中山間地では冬季の貴重なタンパク源として、獲れたてを生姜たまり(生姜じょうゆ)に漬け焼きして食べるだけでなく、正月まで麹に漬け込み食べる文化がありました。他にも、富山の薬売りが運んでくる海鮮干物(スルメや塩かつお、塩さば)を麹に漬けて食していました。
現在は、恵那市北部の飯地町にある飯地町まちづくり特産品部会が生産するスルメの麹漬けが、JR恵那駅横にある恵那市観光物産館えなてらすなどで販売されています。
天空のフルサト 岐阜県恵那市飯地町 うまい飯
http://iiji-ena.com/category/touches/%e3%81%86%e3%81%be%e3%81%84%e9%a3%af/
「三浦豚のたまねぎ塩麹焼き・発酵マスタードソース添え」
恵那市は養豚業が盛んな地でもあり、市内には5つの養豚農家があります。その中の三浦畜産が生産するブランド豚「恵那山麓寒天そだち三浦豚」を、みかさぎ麹屋特製のたまねぎ麹に漬け、フライパンで焼きました。添えられているソースは、みかさぎ麹屋特製の発酵マスタードに恵那市産のはちみつを混ぜたものです。
恵那市産豚肉復活応援ページ
「小いた園のしいたけの丸焼き・醤油麹添え」
恵那市大井町、中山道沿いにある小いた園の肉厚なしいたけを炙り、みかさぎ麹屋の醤油麹を添えました。
恵那の食に挑戦する農業人 小いた園 小板美和さん
「恵那どりの塩麹鶏ハム」
飼育方法にこだわった恵那どりをみかさぎ麹屋が心を込めて塩麹に漬け、他にはないジューシーでしっとりとしたハムができました。
「中山道スタミナ味噌汁」
中山道を旅する人の心と身体を潤した「中山道スタミナ味噌汁」。小泉先生の講演会でお話しがあった、古い文献に残る味噌汁を再現したものです。納豆、豆腐、揚げが入り、タンパク源が豊富な味噌汁です。
「ヘボ五平餅」
恵那市串原産の貴重なヘボをたれに混ぜ込んだヘボ五平餅。皿には、ヘボとイナゴ、和田さんの糠漬け、もりのいえの辛味調味料を添えています。
恵那市内の幼稚園ではかつて遠足でイナゴ捕りをしており、イナゴには懐かしさを感じます。
たべとる 恵那の食材『ヘボ』
『串原ヘボガールズ』インスタグラム
https://www.instagram.com/hebogirls/
「細寒天のサラダ」
恵那市山岡町の特産品である山岡細寒天。蕨、人参、トマトとあわせたサラダです。
恵那の食に挑戦する料理人 山岡駅かんてんかん
「山菜の天ぷら」
恵那市中野方町の採れたて山菜を天ぷらにしました。筍、ユキノシタ、タラノメ、コシアブラ。
なかのほう不動滝やさいの会では、季節の野菜や、それらを使ったお弁当、朴葉寿司、朴葉もち、栗菓子、手づくり味噌などを販売しています。
朴葉を使った食文化は、文化庁の「100年フード」にも認定された、世代を超えて長く地域で愛されてきた食文化です。
▲ 料理の背景について小泉先生に説明する和田さん
▲ ヘボ五平餅を食す小泉先生
この他にも、恵那市の柚子や五平餅のたれ、桜の塩漬けが入った手づくりのシフォンケーキ、なかのほう不動滝やさいの会がつくる朴葉もち、恵那市中野方町の農家民泊ふうちゃん生産の緑茶、恵那市笠置町FARM ROOTS生産の和紅茶と、どれもこれもが恵那市産の食材で、恵那市の資源の豊かさが感じられました。
小泉先生をはじめ昼食会に参加された方々は感嘆の声を上げていました。食で郷土愛を育むと言いますが、懐かしい味わいに心が動かされました。
和田さんは、
「恵那市の発酵食文化を小泉先生にお伝えすべく、メニューを試行錯誤しながら市内を駆け回り、食材の調達、仕込み、試作を繰り返し、なんとか完成しました。
当日はおしながきの説明をしながら食材についての話題で盛り上がり、自分の心配とは裏腹に想像以上に喜んでくださり、こんなに嬉しいことはありません」
▲ 小泉先生と調理スタッフとの記念撮影
恵那の里山にはこんなにも豊かな資源があり、それらをうまく利用してつくられた食文化に、小泉先生だけではなく、恵那市に暮らす我々さえも感嘆の声を上げました。
先人の知恵や工夫、手間をかけてつくられた発酵食は、現代の食生活を見直し、これからを生きるヒントになるような気がしてなりません。
これをきっかけに、郷土の食材を改めて見つめ直し、恵那市の特色ある食として発信し、地産地消の取り組みを進めていきたいと思います。