恵那の食に挑戦する 農業人

石川農園

石川 右木子 さん

  • 農業人

 

 

 

「森の中の農園」

 

 

 

 

標高650mの山間にある恵那市上矢作町でトマトやイチゴを作る石川農園。

 

 

 

 

町内面積の95%が山林という小さな町には6軒のトマト農家があり、上矢作トマト組合として助け合いながらトマトを育て出荷しています。

 

 

 

 

石川農園を引っ張る石川右木子さんは、トマト農家になって16年。

トマト栽培のノウハウを同じ組合の農家に教わり、今は自分が教える立場として研修生に指導しながら自身の農業経営を広げてきました。

トマトが最盛期のビニールハウスに入ると、整然と並んだ木や枝が規則正しく支柱に巻き付いて育つ光景が広がります。人の目が行き届き、どれだけ手入れされているか、伺い知ることができます。

 

 

 

石川さんは育てたトマトを市場へ出荷するだけでなく、ミニトマトをハウスいっぱいに栽培し『トマト狩り』ができる農園として観光化を果たしています。

トマト好きにはたまらなく、様々な品種のトマトをもぎとって食べ比べる楽しさがヒットし、地元はもちろん、遠方からの観光客も訪れる農園として広く知られるようになりました。

トマトの出荷がない冬には、イチゴやチヂミホウレンソウを育て市場へ出荷。他にもサツマイモやエゴマを栽培し、サツマイモは干しイモやチップスにして、エゴマは油に加工し販売しています。

 

 

常勤スタッフ3名、就農予定の研修生1名、農繁期を支える臨時パートさん8~9名で、

会社のコンセプト「楽しく、真面目にやりこむ」をモットーとし、森と水の恩恵を受けた上矢作町で農業を続けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トマトも食べてもらいたいけれど、それ以上に上矢作のことをもっともっと知ってもらいたい。ここには素晴らしい自然とそこに息づく豊かな生命があふれています。食べてもらえばその恵みを感じてもらえると思う」

 

 

 

これは、上矢作トマト組合の生産者インタビューが掲載された冊子「とまと、と」に石川さんが語った言葉です。

 

 

 

6月、イチゴの収穫シーズンを終える最終日、地域の住民にだけ最後のイチゴ無料摘み取り放題を実施しています。あらかた収穫できたイチゴの株は参加者も農園スタッフも一緒にポットから引き抜き撤収作業をして片づけます。地域の人にも農園スタッフもうれしい作業です。

 

また、上矢作町三作地域で農家主婦グループによって製造販売されていた三作味噌が、グループの高齢化により存続が難しくなった時、それを惜しんだ石川さんが加工所も生産も引き受け上矢作伝統の味噌づくりが受け継がれました。

石川さんが継いだ味噌は上矢作町の花 福寿草から「ふくすけ味噌」と名を改め、現在は市内の道の駅などで買うことができます。

 

 

 

「地域の方々と一緒に作業するイチゴの片づけ作業も、引き継いだ味噌づくりも、同じ地域に住む農家の暮らしや職人技を知ることから、上矢作で農業をするやりがいを感じるんです。」

 

 

 

自分の直感を大切にする石川さんならではの地域貢献、農業経営です。

 

 

 

トマトやイチゴを利用した農産物の6次化商品開発も、観光農園にしても「自分がおもしろい、美味しい」と感じたものだけを実現していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うちで作ったトマトやイチゴ、サツマイモを加工品にする作業は自分たちでやっています。

 

儲かる儲からないは度外視して好き放題やっています。ターゲットは自分。自分がいかに楽しめるかが課題です。新商品が出来上がるたびに「売れすぎたらどうしよう」と思うほど!

 

 

今までトマトケチャップ、パスタソース、イチゴジャム、干しイモ、イモスティック、イチゴアイス、イチゴゼリーなどなど…毎年1個ずつ新商品を開発販売してきました。どれも不要な添加物は入れず、できるだけ身近な場所で生産された食材だけでつくっています。

 

 

その中でも石川農園で一番といえる6次化商品は『トマトの宝石箱』ですね。

 

 

フレッシュトマトを贈り物として宝石箱のようにラッピングしています。こういうことを考えながら手を動かすことが好きなんです。

 

 

石川農園の商品開発は、農園のイメージをつくるブランディングと言えるかもしれません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年冬、石川さんは新たな挑戦をしています。

 

 

冬場のいちごハウスを拡大し、加温するのに使っていた灯油ストーブに加え、地域の間伐材を薪に変えて燃料とする薪ストーブと薪ボイラーを使うことを始めました。

 

 

「山間地に暮らす人とお金の循環をつくりたいんです。

 

ハウスを温かくするのに、地球の裏側に住む人にお金を払って買った石油を使うか、同じ地域に住む人が切ってきた間伐材を買って使うか。

灯油でも薪でも同じだけのコストがかかるのなら、私は地域の人にお金を払う方を選びたいと考えたんです。

 

山も人が手入れしないと、田舎の景観が失われていくばかり。

熊やイノシシ、鹿が人里の田畑を荒らすのは、杉や檜の間伐が進まず、山に光が入らなくなったからと聞きます。

 

 

せっかく上矢作に住んでいるんですから、人とお金を循環させて、環境にも良いことを続けていきたいです。

 

 

まだまだ実験段階ですが、これを成功させ地域の農業に広く伝わるといいと思っています。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石川さんが繰り広げる「森の中の農園」計画は、人口減少が進む山間部の光です。

光は強く上矢作全体を照らし、これから、地域と農業の関わりを示すモデルケースになるような気がしてなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石川農園の最新情報はFace bookからもチェックできます。

 

https://m.facebook.com/ishikawatomatofarm/

 

 

生産者情報

石川農園

TEL 080-2667-6269 0573-32-1300
Eメール infoishikawafarm@gmail.com
ホームページ https://www.ishikawafarm.com/

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