恵那の食に挑戦する 農業人

マルコ醸造株式会社

小木曽 智彦さん

  • 農業人

 

 

 

2月終わりの金曜日、恵那市明智町の公民館の調理室で、マルコ醸造主催の『味噌作り講座』が開催されていました。

 

 

 

マルコ醸造の味噌作り講座は今年で10年目。リピーターも多く、毎年大人気の講座です。

 

 

 

年に何度も開催される味噌作り講座ですが、この日の参加者は21名。

市外、県外からの参加者も多く、受講のきっかけも様々です。

 

 

 

「子どもの食物アレルギーを機に、食生活を見直すようになりました。」

 

「昔ながらの手作り味噌の美味しさと、作る楽しみがあります。」

 

「マルコ醸造の発酵食品を中心にしたランチを楽しみに来ています。」

 

 

 

マルコ醸造が製造販売する、味噌、醤油、お漬物などには一切、合成保存料などの添加物は入っていません。

素材を生かした自然な美味しさを学べる内容が評判で、年々、受講生は増える一方です。

 

 

 

 

 

 

「私が2010年にブラジルへ渡航した際、肉を中心にした偏った食生活を送っていたことで体調を崩したきっかけから、食事を改めるようになったんです。」

 

 

 

講師を務めるマルコ醸造の社長 小木曽 智彦さんは、和食の中の発酵食品を摂ることで健康に繋がることを身をもって知った体験談を語ってくれました。

 

 

 

「日本に帰ってきてからも体調は戻らず、受診。

先生から『味噌汁・ご飯・お漬物の3品だけを摂るように』言われたので、それを忠実に守って暮らしました。

そしたら、体調が戻ってきたんです。驚きでした。

それにこれ、昔からうちで作ってるものばっかりじゃん!という驚きもありました。」

 

 

 

ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」には、栄養バランスに優れた、健康的な食生活を形成している特徴があります。

米、魚、野菜や山菜といった地域で採れる様々な自然食材を用いるほか、出汁の「うま味」を上手に使うことにより、動物性油脂の少ない食生活を実現していることがあげられています。

これにより多くの日本人が日本食文化を見つめ直すとともに、次世代に向けた保護・継承の動きにつながることが期待されています。

 

 

 

 

「食にもっと関心を持ってほしいですね。知るということの大切さ。

ひとりでも多くの人に、食が健康の基本ということを知ってもらいたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マルコ醸造の創業は明治31年。天然醸造、手作りにこだわった、味噌、醤油、漬物、麹などを製造販売しています。

 

 

 

創業当時は各家庭で大豆を育て味噌を手作りする時代です。味噌、醤油を製造販売し商売をするには、誰も作っていない美味しい味噌を作り、ファンを増やすことが必要でした。

この地域で作られる味噌は、大豆と米麹でつくられる長野県の信州味噌、大豆を材料に3年かけてつくる愛知県三河地方の八丁味噌の影響を受けています。

それに全国を回って探した九州の麦麹を加え、独自のレシピを生み出しつくられた『三種麹味噌』が誕生しました。

これが最初のヒット商品となり、以来、マルコ醸造の味噌・醤油は地域に根付いていきました。

 

 

 

「創業以来、変わらぬ木桶で製造しています。

木桶は他の素材に比べて外気の影響を受けにくく、適温適湿に保つことができるため熟成に適した環境を作ってくれます。

また、使用する程に菌が住み着き味や風味の個性が生まれます。

 

 

 

自分が美味しいと思うものしか販売しません。

値段も手ごろ、地元に根付いた変わらぬ味の味噌をお客様にお届けしたいです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マルコ醸造の数ある商品ラインナップの中で『菊ごぼうの味噌漬け』があります。

菊ごぼうは当地の伝統食材であり、晩秋に収穫した菊ごぼうを味噌漬けにしてお正月に食べる文化は古くからの行事食です。

実は現在、気温の変化と栽培の難しさ、高齢化による生産者の減少で、地元のスーパーでも恵那産の菊ごぼうを見かけることはありません。

 

 

 

地元産の菊ごぼうを復活させたい。

 

 

 

中津川市のKoike lab.は若く農業経験の浅い農業者ですが、菊ごぼうにかける熱い思いを持っていました。

 

 

 

それを聞いた小木曽さんは栽培チャレンジ前から

「Koike lab.の菊ごぼうが成功したら、全量買い取る!だから、今年栽培に失敗しても、来年またチャレンジし続けてほしい。」

 

 

 

その言葉を聞いてKoike lab.は勇気凛凛。

1年目、2年目と失敗し、出荷はできませんでしたが、3年目にしてようやく出荷できるレベルの菊ごぼうができ納品することができました。

「まだまだ生産量も品質も北海道産に比べたら劣ります。でも、来年もチャレンジして、本物の地元産菊ごぼうの味噌漬けを食べてもらいたい。」

 

 

 

 

 

「食生活の根本は農業にあります。

野菜の栄養価、本来ある栄養素を上手に体に摂り入れることで健康に繋がります。

地元の農業が廃れていっては困るんです。

マルコ醸造の味噌、醤油に使う大豆は『えんれい』という味噌づくりに適した品種なんですけど、それは富山県で生産されたものを仕入れているんです。

恵那産の『えんれい』があったらなぁ」

 

 

 

 

「和食」は、長年にわたり培われてきた日本の食文化といえますが、我が国の食生活は大きく変化しています。

肉類や乳製品を多く取り入れた欧米化が進行するとともに、調理食品や外食を利用する機会が増加するなど家庭内で調理する機会が減少している傾向がうかがえるからです。

「和食」の魅力は「一汁三菜を基本としたバランスよい食事スタイル」や「地域ごとの特徴的な農産物を使用している」ことです。

 

 

 

恵那独自の食文化を保護・継承する取組を積極的に行っているマルコ醸造は、

地元の健康を第一に考えた食品づくりを通し、持続可能なまちづくりに取り組んでいました。

 

 

 

生産者情報

マルコ醸造株式会社

TEL 0573-54-3188
Eメール https://www.marukojozo.co.jp/shop/contact/
ホームページ http://www.marukojozo.co.jp/

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