野菜生産カタログ

夏秋トマトのこと

 恵那市中津川市の地域は、県下でも飛騨地域に次ぐ夏秋トマトの産地で、市場においても高い評価を受けています。中山間地特有の昼夜の温度差により育まれた、真っ赤でずっしりした重みあるトマトは食べ応えあります。   育苗センター及び選果場が整備され、苗づくり、選別・箱詰め作業の省力化が図られています。また、行政面でも地域振興作目として補助事業などバックアップ体制が整っており、「ぎふクリーン農業」技術を導入することで、安全・安心・健康なトマト産地づくりを目指し、こだわり農産物としての価値を高めています。 トマト栽培は、雨よけとしてハウス栽培を前提とし、それによって生育の安定と収穫期の拡大が可能です。   ぎふクリーン農業でのトマト栽培技術のひとつに、マルハナバチの導入があります。 トマトは風で揺らされることによって花粉が落ち、受粉します。そのため、風のない温室内では受粉できません。そこで風に替わってマルハナバチが受粉を助けているのです。マルハナバチによって受粉したトマト(自然着果)は従来行われていたホルモン処理によって着果したトマトよりも糖度が高く、ビタミンCも多いことがわかっています。マルハナバチはとても有益な農業資材といえます。 恵那市では、「夏秋トマト生産協議会」として生産者がつどい、トマト生産の普及・品質向上・担い手育成などを担う団体として活動、仲間づくりがなされています。収穫期は、出荷調整、葉かき・誘引、出荷作業などで多忙になります。 また、岐阜県とひがしみの農協が開催する「チャレンジ塾」では、夏秋トマトの育て方、特徴、経営試算などを細かに学ぶことができます。 自分のライフスタイルに合わせて労働するためにも、様々なプランを知るのに良い機会かと思われます。
土地条件 耕土が深く肥沃で排水の良い圃場を選ぶ。 地表排水が速やかであること。 日当たりが良く、灌水に便利、風通しの良い圃場を選ぶ。 以前にナス科作物(ナス、ピーマンなど)を作付けした圃場は、土壌病害が発生するおそれがあるため、初年度より接木栽培を導入する。
施設・機械投資 雨よけとしての農業用ハウスが前提。
収量と品質を 構成する要素 収量は果実肥大と収穫個数で大半が決まる。 適正な草勢を維持する肥培管理、灌水管理を行う必要がある。 収量向上のためには適正な植栽本数が必要であり、10アール当たり1800株以上は植栽する。 収穫目標とする果実の大きさはLサイズから2Lサイズ。 品質には形状などの外観と食味などの内容的なものがある。トマトは大玉に作ると外観では変形果や花落ち跡が大きくなり、食味も低下しやすい。 品質と収量性は相反することが多いため、トマトの特性を十分把握し、生育ステージにあわせた栽培管理を行うことが望ましい。 基本作型は、3月上旬に播種、下旬に接木、4月上旬に仮植、5月上旬に定植。 収穫は7月から11月中旬まで。
目標収穫量 (10アールあたり) 10トン A品率は60%以上
販売単価(円) 平均単価 288円/㎏ (21年度)
経費 (10アールあたり) 2,040,828円 (接木苗購入1,900本) 雨よけハウス一式、建物などの償却費込み
年間作業時間 約820時間 (ぎふクリーン農業 基準体系)
主な生産者 恵那市夏秋トマト生産協議会 加入生産者
主な出荷先 京阪神・中京市場を中心とした拠点販売及び京浜市場への継続安定出荷体制の確立を検討し、強力な販売戦略を推進している。
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夏秋なすのこと

 露地栽培のため、少ない投資で栽培を開始でき、しかも夏場の市場性が高く収益性の高い作物です。 恵那中津川地域では育苗センター及び選果場が整備されています。それにより幼苗の管理、選別、箱詰め作業などは軽減されます。また、少量でも出荷が可能です。 小面積でも栽培できます。なすは果菜類としては初期投資が少なく、栽培管理も比較的シンプルな品目です。このため、定年退職された方や、自宅に居ながら収入を得たい方などに適した品目といえます。 午前中の作業が多く、昼間は比較的自由な時間がとることができるのも団塊世代に魅力のひとつかも。 高温性の作物であるなすは、果実の品質は昼夜の温度差の大きい地域で美味しくなります。恵那市のような中山間地域に適した作物といえるでしょう。 この地域のなすは紺色が鮮やかで、県内はじめ名古屋地域で好評を得ています。 この地域で栽培されるなすの品種は「千両2号」と「筑陽」が多いです。 「千両2号」は、アクが少なくまろやかな口当たり、和洋折衷どんな料理にもむいています。皮が厚く実が引き締まっているのも特徴で、市場の8割が千両なすです。 「筑陽」は一般的に長なすと呼ばれます。皮も果肉も柔らかく、炒めもの、煮もの、焼きなすに向いています。 栽培には比較的多くの肥料が必要な作物です。 整枝、剪定が高品質・多収栽培には重要であるため、基本管理に支障をきたさない規模(1人平均5アールから10アール)の栽培を目安としましょう。
土地条件 収穫期間が6月中旬から11月中旬の5ヶ月間と長いため、耕土が深く、排水のよい圃場を選びましょう。 土壌病害対策のために、水田との輪換が望ましいです。それは台木を選択することで3年ほど連作が可能な場合もありますので、十分な情報収集をしてください。 また、新しい栽培方法として、袋詰めした培地でなすを栽培し連作を可能にする「袋栽培」技術があります。 メリットは、連作障害を防ぐのに有効です。なす一株を一袋の中で個別に仕切って栽培するので、土さえ変えれば同じ場所で何度でも栽培することができます。それにより万が一の土壌病害も、周辺の株に蔓延することを防ぐこともできます。 デメリットは、通常のなす栽培方法に比べ、肥料や水の管理が厳密です。常々気をつけてなければすぐ元気がなくなるので、いっぱい愛情を注いであげましょう。
施設・機械投資 強風を和らげなすの傷を防止するために、圃場の周りを防風ネットで囲うことがあります。 また山間部などでは鳥獣外の侵入の予防にもつながります。 ワイヤーと支柱を使って1本の枝をV字に育てる栽培方法などあり、初期は10アールにつき40万近くの投資が必要ですが、次年度には5万ほどです。あとは管理機などあればよいので、少ない投資ですむ、数少ない作物です。
基本作型 5月中旬に定植を行います。収穫は、6月下旬から11月中旬まで。
目標収穫量 (10アールあたり) 8,000㎏ A品B品率70%以上 (上級者は10tが目標)
販売単価(円) 平均単価 290円/㎏ (平成29年度)
経費収支 (10アールあたり経営試算) 初年度   出荷額・・・2,344,000円 所得率・・・25.6% 所 得・・・600,064円 2年目以降 出荷額・・・2,344,000円 所得率・・・46.8% 所 得・・・1,096,992円
年間作業時間 約820時間 (ぎふクリーン農業 基準体系)
主な生産者 恵那市夏秋なす連絡協議会
主な出荷先 岐阜県内、名古屋市場
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いちごのこと

冬場の園芸品目として農業用ハウス施設栽培が可能です。経営的には夏秋期の品目と組み合わせて生産することができます。 近年では夏場はトマト、冬場はいちごを生産される農家さんが増えてきました。 冬の寒さ厳しい恵那では、ハウス内で暖房を利かせて育てるとはいえ、外気の冷たさ、土壌の霜などでハウス内でも寒暖の差が大きく、温暖な気候の土地で育ついちごとは違う、実のひきしまり感や糖度が増すのだそうです。 このようなうま味を持つ恵那産のいちごは、関面方面の市場で需要が高く、出荷が多いとのこと。 いちごの生産は運搬、重労働がなく、軽作業が中心です。 また、需要や価格の変動が他の野菜に比べて少ないため、比較的安定した収入が見込まれます。 栽培方法は土耕栽培、高設栽培、簡易高設栽培の3タイプがあります。それぞれ利点、課題など違いがありますから、事前に栽培研修や試作などを行い、技能を修得しておく必要もあります。 過剰投資に陥らないよう、十分な施設導入計画を立てましょう。
土地条件 小面積で取り組める。 ハウスの移設は難しいので、条件の良い土地を選ぶこと。 土耕栽培の場合は、排水良好で保水力・通気性の高い土壌が良い。 高設栽培では、良質な地下水、もしくは水道水の確保が必要。
施設・機械投資 加温施設(農業用ハウス)が必要。10アールあたりおよそ150万円程度の投資。 高設栽培では、栽培ベンチ一式が必要なので、さらに70万円程度の投資が必要。 ハウス・高設置ベンチ等の施設は自己施工が基本。(施工費節減のため)
品種と特性・基本作型 章 姫…… 寒冷地である恵那市に最も適した標準品種。 草勢は強く、ランナーの発生は速く発生数も多い ポット育苗促成栽培、定植は9月上旬から。収穫は11月下旬から5月下旬まで。 低温に強く当地域の厳寒期にも育成が確保しやすい。通常は電照の必要はないが、着果負担による草勢低下防止には電照が有効である。 紅ほっぺ… 草勢は強く、ランナーの発生は速く発生数も多い。 ポット育苗促成栽培、定植は9月上旬から。収穫は11月下旬から5月下旬まで。 低温に強く当地域の厳寒期にも育成が確保しやすい。通常は電照の必要はないが、着果負担による草勢低下防止には電照が有効である。
目標収穫量 (10アールあたり) 土耕栽培・・・3,300㎏~4,000㎏ 高設栽培(可動式ベンチ)・・・4,500㎏~5,500㎏ 簡易高設栽培(自作固定式ベンチ)・・・3,500㎏~4,200㎏
販売単価(円) 平均単価 @900円/㎏
経費収支 (10アールあたり経営試算) 土耕栽培・・・2,109,866円 高設栽培(可動式ベンチ)・・・3,065,118円 簡易高設栽培(自作固定式ベンチ)・・・2,336,080円
所得(売上-経費) 土耕栽培・・・860,134円 高設栽培(可動式ベンチ)・・・984,882円 簡易高設栽培(自作固定式ベンチ)・・・2,336,080円
主な生産者 恵那市いちご生産組合
主な出荷先 JAひがしみの ・ 恵那市内各道の駅・農産物直売所 ・ えなてらす
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スイートコーンのこと

 中山間地では昼夜の温度差が大きく、甘味の強い品質の優れたものが生産できます。 恵那市で栽培されているスイートコーンの多くは「恵味ゴールド」という品種で、中早生イエロー種。 粒の色は鮮やかなイエローで光沢が強く、甘みの強さと柔らかな粒皮が特徴です。 ひがしみの農協ではこの地域のブランドとうもろこしとして展開しています。 また、飯地町の「愛澤会」が生産する「ピュアホワイト」は粒の色が白く、糖度の高い品種として地元に浸透しつつあります。 粒皮の硬化、甘みの低下は遅いので収穫期は7月下旬から8月上旬。他と比べると幅広いです。穂が大きく、先端不稔がなく揃いもよく、秀品率が高いので、育てやすい品種といえるでしょう。 茎葉量で10アール当たり3トンあまりの有機質が得られるなど、地力維持を図る上にも有利な作物です。また、雌穂収穫後の茎葉は家畜飼料としても利用できます。近年では家畜飼料専用の飼料用トウモロコシとして栽培する農家もふえてきました。 作付けに当たっては、開花期の一致する飼料用トウモロコシ栽培周辺では作付けしないことが必要になります。 収穫直前には鳥獣害が多くなるので周囲を隙間なく網で囲い、さらに電柵との組み合わせなどで対策をすると効果があります。さらに空からの鳥よけ対策も必要です。甘くて美味しい恵那のとうもろこしのことは、鳥や動物も美味しい時期を知っていますからね。
土地条件 作土は深く、排水良好で保水力があり、肥沃な畑地を好みます。 転換水田は特に排水に努めるとともに、できるだけ高畦にしましょう。
栽培方針 4月下旬には種します。5月の中旬までには補植、間引きしましょう。収穫は7月下旬から8月上旬です。
目標収穫量 (10アールあたり) 1.1トン (サイズL以上率 2640本 220ケース)
経費(10アールあたり) 325,696円
年間作業時間 約94時間
主な生産者 恵南スイートコーン生産協議会 愛澤会
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こんにゃくのこと

 当地でのこんにゃく芋栽培の歴史は古く、これを特産品にするため恵那市串原地区をはじめ、各地域の農産物加工所が昔ながらの製法でこんにゃくを手作りし販売しています。こんにゃく芋生産販売の導入を考えるのであれば、加工原料として、共販による契約的取引を主体に取り組み始めることが望ましいです。 こんにゃく芋にはグルコマンナンという成分が含まれています。グルコマンナンはアルカリ性になると水分を吸ってゼリーのようにプルプルな状態に固まる性質があるので、これを利用してこんにゃくは製造されています。当地域で栽培されている品種「甲州玉」は、粘り気が強く、少ない水分量でも固まるので業者からも信頼されている。 こんにゃく芋の栽培は平成15年より、ぎふクリーン農業への取り組みも始まっており、有機質肥料の利用、土づくりの徹底などにより安定生産を図っています。 こんにゃく芋が大きく育ち出荷できるようになるには数年の年月がかかります。初めてこんにゃく栽培を始める場合、また、種いもを購入により更新しようとする場合、2年生の種いもを購入するとよいでしょう。(種いもの流通の主体は、2年生いもである。)
土地条件 日照は余り強くない方がよいが、日照量が40%以上制限され、1日の受光時間が9時間以下となると収量・品質ともに低下します。また、開葉後に強い風が少ないことも条件です。 排水が良好で通気性が良く、作土20センチ以上で排水性の良い植壌土が適しています。
施設・機械投資 種芋貯蔵庫(1万円以下)があると良い。
基本作型 定植は5月中旬、収穫は10月から11月上旬。
目標収穫量 (10アールあたり) 在来種  1年生いもを植えた場合 球茎 1300㎏ 生子 120㎏ 2年生いもを植えた場合 球茎 2000㎏ 生子 150㎏ 3年生いもを植えた場合 球茎 2500㎏ 生子 70㎏ 種子用いも込みの作付け10アールあたり目標出荷量(3年生いも中心) 1000~1200㎏
販売単価(円) 388円/㎏ (平成21年)
経費(10アールあたり) 178,719円 (平成21年)
年間作業時間 約191時間
主な生産者 恵南こんにゃく生産組合
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ちじみほうれんそうのこと

 冬に出回るほうれんそうのほとんどは、トンネル栽培で生産されていますが、「ちぢみほうれんそう」は露地栽培で生産されていることから、寒さに耐えられるように葉に厚みが出て、糖度が上がり、うま味も優れていることが特徴です。 見た目も一般的なほうれんそうは葉が立っているのに対して、「ちぢみほうれんそう」は少しでも日光に多く当たるよう地面に張り付くよう葉を広げ、葉が縮れた状態に育つことから、ちぢみほうれんそうと呼ばれるようになりました。 このような、季節を生かして栽培されるほうれんそうですので、収穫期間は12月~2月の期間限定品です。 夏秋トマト、夏秋なす、その他野菜の補完品目として冬期に収益が見込める品目です。当地域では、ある程度までハウスで育て、収穫する前に一定期間寒い外気にさらします。このような栽培方法を「寒締め」と呼びます。このため、他の品目と一緒に栽培しないよう注意します。 ちぢみほうれんそうは別名「ちりめんほうれんそう」とも言い、ちりちりに縮れた葉が特徴です。普通のほうれんそうより葉肉は厚く根の部分も太くて色も濃い。ほうれんそう特有の苦みも少ないので、余り火を通さなくてもおいしいです。
土地条件 作物のうちでは、特に酸性に弱いので土壌 pHを6.5~7.0を目標に改良する。 作土が深い、排水条件のよい場所を剪定すれば、安定した栽培が可能です。
目標収穫量 (10アールあたり) 800㎏
販売単価(円) 450円 (21年度)
経費(10アールあたり) 180,000円 (平成21年)
年間作業時間 約140時間
主な生産者 石川トマト農園 ほか
主な出荷先 岐阜市場
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じねんじょのこと

 じねんじょは年末の進物用の直売や宅配などの販売形態が主体で、高単価も期待できる、露地栽培においては他の作目と比べて非常に有利な経営品目です。 栽培用のパイプ(クレバーパイプ)の導入により、畑や水田での栽培が可能になります。パイプでのじねんじょ栽培方法は、4とおりあります。種から3年かけて育てる「種子繁殖(ハナタカメン)」自然薯の地上部の茎と葉腋に発生するムカゴを2年かけて育てる「ムカゴ繁殖(1本種)」一本の芋を分割し催芽して栽培する「切芋繁殖」催芽の手間が省く「首いも種繁殖」です。それぞれ栽培と収量に違いはありますが、収穫年の作業は1パイプに1本種、もしくは波型シートを使用して1本種として栽培します。パイプ(シート)に詰める土は土砂(無菌)系のものが良いようです。芽が出て、つるが伸び始める頃、キューリネットを張り、棚を作ります。畝に肥料(じねんじょ専用)を撒き、白黒マルチを張ります。あとは夏を越えて秋の収穫を待つだけ。10月中旬頃にムカゴを収穫。丸くてつやの良いムカゴは来春の種ムカゴに使用できます。11月中旬に葉が色づき枯れ始めたら、いよいよじねんじょの収穫。 労働力の大半が春(3月~4月)の定植準備(パイプへの土入れ等)と秋(11月以降)の収穫作業(堀取り及び出荷調整)ですので、他作目との複合経営を行うことも可能になります。
土地条件 山間、標高ある涼しい所を好みます。日当たり良く、また暑くなりすぎない場所を選びましょう。山の土はじねんじょに合います。腐らないように、水捌けよく、保湿性の良い所が良いでしょう。
施設・機械投資 パイプ(クレバーパイプ)、支柱、ネット、赤土など。
基本作型 定植は5月上旬、収穫は11月中旬から12月。 栽培方法によって、出荷するまでに3年~2年かかることがあります。 周りの臭気を吸収・吸着する性質があります。化学肥料や化学農薬に弱いので、使用しないようにしましょう。
目標収穫量 (10アールあたり) 1トン
販売価格 (有機JAS) 自然農法 2.4㎏(家庭用)5,000円 1.2㎏(家庭用)3,000円 1.2㎏(贈答用)4,300円 1.5㎏(特選贈答用)5,500円  (平成26年)
経費(10アールあたり) 1,331,000円(平成21年)
年間作業時間 約560時間
主な生産者 恵那自然薯生産組合
主な出荷先 JAひがしみのブランドとして全国へ宅配
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にんにくのこと

 にんにく栽培の歴史は古く、起源は古代エジプト時期。日本に広まったのは戦後になってからです。 特有のにおいの成分はアリシン(硫化アリル)。ビタミンB1、B2、B6も多く、疲労回復、強壮薬などに用いられてきました。抗菌、殺菌作用も高いです。 栽培には特別な施設は必要ありません。黒マルチを用いると球が大きく育つといわれます。作物としては比較的高い収益性があると言えるでしょう。 栽培時期は秋。10月に寝付けして翌年6月に収穫を迎えますので、他作物との労力の競合が少ないです。但し、乾燥後の出荷調整労力はかなり必要となってきます。 加工用の青果(乾燥)出荷が主体ですが、近年では、黒にんにく加工や直売所向け商品としての用途があります。黒にんにくは、にんにくを長時間熟成・発酵させたもの。発酵黒にんにく、発酵にんにく、熟成にんにくとも言います。黒にんにくはサプリメントなど、健康食品的な側面もあります。
土地条件 生育適温は15~20℃、冷涼な気候を好みます。 乾燥と酸性土壌を嫌い、また、耐暑性が強くないので、植え付け時期に注意しましょう。
基本作型 10月中旬に寝付けし、翌6月に収穫します。 恵那地域では根雪がなく「凍害」の影響を受けやすいため、やや遅めの根付けとします。 植え付ける時期と収穫する時期の見極めが品質の良い球を収穫するためのポイント。 にんにくは雨の日や雨が続いた後に収穫すると極端に品質が落ちるので、晴れの日が何日が続いた後に収穫します。 収穫した後は、根っこを切り取って10株程度に縛りまとめたものを風通しの良い日陰に干して、お尻の部分がカラカラになるまでしっかりと乾燥させます。ハウスや畑で乾燥させる場合には、直射日光が当たらないように寒冷紗やよしずなどを使って遮光しましょう。
目標収穫量 (10アールあたり) 800~1000㎏(乾燥後、収穫時重量の7割、商品化率8割として)
販売単価(円) 平均単価 1000円/㎏  (平成21年)
経費(10アールあたり) 385,200円
年間作業時間 約300時間
主な生産者 (有)東野
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やまごぼうのこと

 特有の香りと歯触りがあり、醤油・みそ漬けとして古くから食べられているヤマゴボウ。「飛騨美濃伝統野菜」にも認定されています。また、切り口が菊の花の模様に似ていることから「菊ごぼう」とも呼ばれます。 栽培の発祥地は恵那市岩村町といわれ、江戸末期より栽培があったとされています。明治時代には栽培が本格化し、大正年間には各地に種子を提供、栽培が奨励されました。昭和初期には飛騨や愛知県の奥三河地方まで栽培が広まり、戦後には長野県へも普及されていきました。 「ヤマゴボウ」・「菊ごぼう」は地方名であり、「モリアザミ」(きく科あざみ属)が本来の名称です。1862(分久2年)美濃国恵那郡富田村(現在の岐阜県恵那市岩村町富田地区)の庄屋である吉村家が三森山に自生していた根の太いモリアザミを栽培したのが始まりと言われています。なお、やまごぼう科やまごぼう属の「ヤマゴボウ」は根っこに有毒成分のある別種の植物です。 栽培には特別な施設を必要としません。土壌病害を避けるため、栽培場所を毎年変えていく方法である「輪作(りんさく)」も対策としてオススメです。ヤマゴボウは加工用の青果出荷が主体なので、加工原料として、共販による契約的取引を取り組み始めると良いでしょう。
土地条件 排水のよい30センチ以上の耕土が確保できるところがよいでしょう。植物は土の中に根を張り、養水分を吸収して生長します。野菜でも、ダイコンやゴボウなど根を利用するものはもちろんのこと、果菜類や葉菜類でも、根を土中に広く伸ばすようにしてやれば、地上部のよい生育を約束してくれます。 強年質土壌は適しません。反して火山灰土壌では白くきれいなものが生産できます。また、地力が弱い痩せ地でも生産可能。独特の風味は標高高い300メートル以上のところほど多く生じます。
基本作型 6月下旬~7月初旬に播種。10月下旬~11月下旬、霜にあたり葉が枯れ上がったところで収穫される。
目標収穫量 (10アールあたり) 700㎏
販売単価(円) 550円/㎏  (平成21年)
経費(10アールあたり) 148,980円
主な菊ごぼう味噌漬け販売店 水半名物販売店(岩村町) およねさん(岩村町) マルコ醸造(明智町) 双美屋(大井町)
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ブロッコリーのこと

 ブロッコリーはキャベツなどと同じ仲間で、原産地はヨーロッパ地中海沿岸。「ブロッコ」の語源は若芽や若木を指すイタリア語(日本語では花蕾)です。 冷涼な気候を好みますが、暑さや寒さにも割合強いです。 国内では北海道・愛知・埼玉が1,000ha前後の産地ですが、当地域で収穫が見込める8月~10月は端境期ですので、比較的堅調な取引が見込まれます。 夏まき秋どりの作型を活かし、水田の担い手組織などが年間労働力の有効利用と転作による複合経営を行う品目として導入することが可能です。有利販売を行うために、あらかじめ販売先との契約取引ができるよう、作付け面積、時期などを調整しておくとよいでしょう。 ブロッコリーはアブラナ科。キャベツ、カリフラワーと同じ種類です。生理障害による異常花蕾、細菌病やアオムシ・コナガなどが発生しやすいので、早めの防除等留意するとともに、有機物の投入で土作りを行い充実した花蕾を育てるようにしましょう。 当地域では、ひがしみの農協が中心の「JAひがしみのブロッコリー研究会」がブロッコリー生産販売を積極的に取り組んでいます。
土地条件 土壌の適応幅は広いが、排水がよく深い耕土が確保できるところがよいでしょう。 土壌の乾燥には比較的強いですが、乾燥条件が続くと、ホウ素欠乏や石灰欠乏などの生理障害が発生しやすくなります。また、水田転換1年目の圃場は、畑地雑草が少なくなりますが、団粒化しにくく、耕耘時に土塊ができやすいため、早期に堆肥を入れ、適切な土壌水分の時に耕起することが重要です。
基本作型 夏まき秋獲り作型では、7月中旬に播種、8月中旬から下旬に定植、収穫は10月から11月上旬です。
品種と特性 当地域ではピクセルという品種が多く栽培されています。 早生種で、播種後85日程度で収穫できます。花蕾は大型。栽培適応性も広く、温暖地での秋どり・初夏どりのほか、寒冷地での夏どり・初秋どりにも向いています。 頂花蕾収穫専用種ですので、側花蕾の収穫には不向きです。
目標収穫量 (10アールあたり) 商品株数 2,800株(商品化率 75%)
年間労働時間 (10アールあたり) およそ175時間
販売単価(円) 100円/2,800株 (平成23年度)
経費試算 144,758円 (平成23年調べ)
主な生産者 JAひがしみのブロッコリー研究会
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くりのこと

 岐阜県東美濃地域は、栗きんとん発祥の地であり、全国有数の和菓子処です。栗を原料とするお菓子屋さんも多いことから、栗は地域産業を担う重要な農産物となっています。 当地の栗は、東美濃栗振興協議会が主体となりJAへ出荷されています。そのうちの超特選栗部会は、地元のお菓子屋さんと高単価で取引する「超特選栗」を契約生産しています。「超特選栗」とは一定の栽培条件、出荷条件をクリアしたブランド栗で、大粒で高品質、安全・安心な栗として地元のお菓子屋さんに出荷されています。超特選栗は低樹高・超低樹高栽培技術が確立されており、これを学べば高齢者・女性の方でも作業がしやすく、ポイントを押さえれば労働生産性は高い品目です。何より、契約出荷による安定した所得の確保が期待できます。 現在はお菓子屋さんが使う栗の量に対して、地元産の栗生産量は少ない現状にあります。そこで、今後お菓子屋さんの加工ニーズに対応した高品質な栗をたくさん作ることを望み、JAひがしみの営農販売課、岐阜県恵那農林事務所農業普及課を中心に「東美濃クリ地産地消(商)拡大プロジェクトチームを発足し、栗の生産拡大に取り組んでいます。 超特選栗とは… 低樹高・超低樹高栽培、ぎふクリーン農業基準栽培の実行 など ぎふクリーン農業=堆肥などによる土づくりを基本に、従来より化学合成農薬・化学肥料を各30%以上削減した栽培方法。 出荷条件:特定の品種(胞衣、丹沢、大峰、金華、林2号、有磨、利平ぐり、筑波、銀寄、石鎚、ぽろたんなど)に限定。 収穫は出荷日午前または前日午後。 無くん蒸、水洗いによる浮き果除去。 不良果・病虫害果の選別徹底など ※選考基準該当者が部会員へ(樹齢6年生以上(定植後5年目))
年間作業時間 92時間/10アール 整枝せん定と収穫作業が大半を占めます。
基本作型 省力で、大粒・高品質なクリ生産が行える「低樹高・超低樹高栽培技術」 植えて4~6年の若木の樹高を抑えるため、主幹をカット(心抜き)します。さらに植えて7~14年の生産が盛んな樹の生産力が落ちたら、主枝をカット(カットバック)します。さらに15年を過ぎると大きな栗が収穫できなくなるため、超低樹高栽培へ移行します。その年に結果した枝をカットし、若い母枝を生長させ、翌年結果させる。これを繰り返して樹勢を維持し、大粒の栗を安定生産させます。
担い手 栽培技術の普及体制の整備(剪定士制度など) 産地のクリ生産技術が向上 ○東美濃栗振興協議会 平成27年度出荷実績:191戸、133トン ○超特選栗部会 平成27年出荷実績:69戸、41ヘクタール、109トン
目標収穫量 (超特選栗出荷を想定、植栽後5年移行、10アール当たり) 300㎏
販売単価(円) (超特選栗出荷を想定、植栽後5年移行、10アール当たり) 772円/㎏ (平成25年~27年の平均)
所得率 71%
相談先 東美濃”クリ地産地消(商)拡大”プロジェクトチーム
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