2023.11.10
11月18日たべとるマルシェを開催します
2019年10月23日
大井第二小学校では地域を学ぶ活動(コミュニティー・スクール)として、地域に住む方々と共に、学年ごとに様々な活動をしています。
コミュニティー・スクールのサポーターである早川 美鈴(はやかわ みすず)さんがコーティネーターとなり、地域と学校をつなげる活動をとおして学校の中だけでなく地域ぐるみで子どもを育てる取り組みです。
4年生では『郷土の食』について学んでいます。
恵那の食文化や地形・歴史などに想いを巡らせ、家族の中での話題となり、みんなで恵那を振り返る機会となっていけたらとの思いが込められた活動です。
10月21日は『恵那の郷土食って何だろう?』をテーマに、山々に囲まれた地形や気候、景観を想像しながら、どのような食が栄え伝えられてきたかを知る授業が、えな「たべる」プロジェクトのアドバイザーでもあり、今回の授業をリードする小椋 日南恵(おぐら ひなえ)さんを中心に行われました。
まずは、「たべること」は人の命をつなぐもの、健康に生き続けるために取り組むことのひとつとして「運動すること」の大切さを楽しく伝える「エーナ健幸体操」を吉田 宏子(よしだ ひろこ)さんの指導のもと全員で行いました。
「エーナ健幸体操」の取り組みは2015年に恵那市が健幸都市宣言をしてからの活動で、小学校4年生の子どもたちには小さいころから慣れ親しんだ体操です。
吉田さんの振り付けを見ながらも、ノリノリで体操していました。
軽く体を動かしたあとは、頭の体操。
小椋さんと共に活動するサポーターの山本 友紀恵(やまもと ゆきえ)さんとで、
子どもたちに呼びかけます。
「目をつぶって、タケコプターをつけて空を飛んでいるイメージをしてみましょう!」
空から見る恵那の景色は、山々に囲まれ、川が流れ、田んぼが広がり、鳥が飛んで、人が住む里があり、家庭の食卓には何がならんでいるだろうか…
…なんてのは大人が想像するイメージで、大井第二小学校の子どもたちがイメージする恵那の景色は、
バローが見えたり、学校の校庭で遊ぶ自分たちの姿や、車の往来をイメージする恵那の様子が語られます。
そんななかでの家庭の食卓。
そして、恵那の郷土食って何だろうと考えだしたものは、
ほおばすし、くりきんとん、ごへいもち、からすみ、の中に、
恵那ハヤシ、かんからもち、じまん焼き、寒天ラーメン、かすてら、などなどがありました。
「郷土の食というのは、この土地でたくさん採れたもの、この地域でしか食べられていないもの、誰かが伝えようと守ってきた歴史のあるもののことを言います。
『寒天』は冬の寒さを利用して作られてきた郷土の食材ですが、『寒天ラーメン』は古くから食べられてきたものではなく、寒天の新しい食べ方だと思います。
例えば、春に食べる『柏もち』があります。これは全国、どこへ行っても食べることができます。
恵那を中心にした東濃地方では山に『ほうの木』があちこちにあり、その殺菌作用のある大きな葉っぱを利用して包んだのが『ほう葉もち』や『ほう葉寿司』になりました。
柏の木より、ほうの木の方が身近にあったからかもしれません。
また、この地域では『黒スズメバチ』を食べます。
よく言う『ヘボ』という食材です。
これは、山に囲まれた地形に住む私たちの先祖の貴重なタンパク源として食べられてきた食材で、
交通の便がよくなり、スーパーに行けば肉や魚などのタンパク源が簡単に手に入る現代では、食べられる機会が少なくなってきました。
ところが先日、ヘボを食べる文化を残そうと、串原の若い女性たちが『ヘボガール』というユニットを組んで東京や都市部へ出向き『ヘボ』のPRをしてきました。
もちろん、地元の串原での『ヘボ祭り』でも活躍しています。
このように、郷土を愛する思いをつなぐストーリーになっているものが、郷土食といわれるものになっているのだと思います。」
子どもたちには、恵那市にある食について書かれた冊子が渡り、興味を持ってみていました。
郷土食のレシピや背景をお友だちと一緒に眺める様子もみられました。
この取り組みをサポートする山本 友紀恵さんは、ご自身のお子さんも大井第二小学校に通っている3人のお母さん。
子どもの友だちがご自宅に集まると、ご飯をつくってふるまうのが当たり前のようになっているのだそうです。
「友だちが友だちを呼んで、学年も超えて、またそのお母さんも一緒になって食べて、家の中が人でいっぱいになることがありますよ。
大勢で食べることは楽しいですね、美味しいものを食べて笑顔になる子どもたちの顔がやりがいです。
最近では『山本食堂』って言われることがあるんですよ。」
子どもたちにとって『山本食堂』は、心休まる居場所なのでしょう。
現代の子どもたちを取り巻く食の事情は、本当に様々。
小学生が家へ帰れば手作りおやつが用意され、夕方にはご飯をつくる香りが漂い、日が暮れれば家族そろって団らんの夕食を摂るイメージはもはやファンタジーのような話なのかもしれません。
添加物、農薬、遺伝子組み換え食材など、食の安全性も不安視されています。
小椋さんは、
「郷土食も進化しています。
そこには郷土を愛する、恵那を愛する誰かの気持ちがつないできたものです。
今、このような風潮の中で子どもたちに気づいてほしいのは、食をとおしての郷土愛です。
私たちが次の世代につないでいけるもの、自信をもってつないでいきたいと考えています。」
恵那が小椋さんたちの活動により町全体が育まれ、よりよい方向へ続いていけることを願ってやみません。