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2021年6月24日

岩村・吉村家の朴葉寿司づくり

 

農村風景日本一の名のある恵那市岩村町富田地区。

なるほど、初夏の富田は水田の水がキラキラ輝き、早苗が風になびく景色に心がくすぐられるようです。

 

 

富田では日当たりの良い場所には水田が広がり、人家は山添いにあります。恵那の中山間地によく見られる光景で、昔から稲作を中心として生計をたてていたことが土地の景色からもわかります。富田の奥には城山や三森山がそびえ、そこからくる伏流水が美味しい米を育てると評判です。

 

 

そんな富田に古くから住んでいらっしゃる吉村さんのお宅で、吉村家ならではの朴葉寿司づくりを教えてもらいました。

 

 

迎えてくださったのは当家の奥様、直美さん。

お父様の仕事の都合で3歳まで台湾で暮らし、その後はずっと富田に住んでいらっしゃいます。今はご主人と息子さん家族と一緒に暮らしており、大学生のお孫さんがいらっしゃる明るく優しいおばあちゃんです。

この日はご近所に住む、中嶋恵子さんと西村百合子さんお2人と一緒に、直美さん手作りの具材と吉村家の庭で採れる朴葉を使った特製の朴葉寿司を作ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吉村家は昔から富田地区に暮らす旧家で、文久二年(西暦1862年)からヤマゴボウを栽培加工し出荷していたことで知られています。ヤマゴボウは包丁で切ると切り口が菊の花のようにも見えることから「菊ゴボウ」とも呼ばれ、岐阜県の飛騨・美濃伝統野菜にも指定されています。

現在、富田の生産農家は途絶えましたが、中津川市でわずかに生産出荷されています。

 

 

もとは富田の奥、城山や三森山、またその麓の草刈り場(堆肥の原料となる草や、牛や馬の餌になる草を地域住民で管理していた土地)に生殖していた野アザミを畑地に植え替え栽培したのが始まりとのこと。野アザミの花の美しさや根を味噌漬けにすると美味しいと知った役人が、庄屋である吉村家に申し付け地域住民に栽培を取り組ませてみたら良品が出来たことからブランド化し、藩の収入につながったと考えられています。

栄養価の高いヤマゴボウは、先の大戦中には軍にも納品されており滋養強壮に良いと言われ高く売れていたようです。

主に味噌漬けにして出荷し食べられていたようですが、粉末に加工しお茶として飲まれていたこともあるようです。

運搬途中にヤマゴボウが折れないよう竹筒に入れて出荷していたようで、ゴボウを取り出した後の竹筒はコップ代わりにもなり、戦地でも重宝されていたとのこと。

 

 

旧家に伝わる農業と食の歴史にワクワクがとまりません。

これは朴葉寿司にも期待してしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

吉村家の朴葉寿司は直美さんのお母さまの代、それよりもっと先代から作られていたとのこと。

お料理上手なお母様は、台湾に住んでいたときから中華ちまきをつくったり、家族のために手作りのものをいろいろ作って食べさせてくれたそうです。

そんなお母さまに育てられた直美さんもお料理上手。

 

 

この日の朴葉寿司の具材は、

・油揚げとシーチキンの煮たもの

・ニンジンと椎茸の煮もの

・錦糸卵

・絹さやと漬物の和えもの

・紫蘇しょうが

 

また、酢飯にはジャコを混ぜ合わせた豪華な朴葉寿司です。

 

作り方にもこだわられ、豆腐の空いたパックに具材を美しく並べいれ上から酢飯を入れて軽く押し、きれいに洗って拭いた朴葉の上にのせて包むスタイル。この方法だと朴葉をテーブルいっぱいに広げることもなく、アパートの小さなテーブルでも一人で出来そう。

包み終えた朴葉寿司は大きなお盆に並べられ、上に重石を置いて朴葉の香りをお寿司にしっかりと移します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また食べ方にも特徴があり、食べる直前に寿司の上から甘酢しょうゆ餡をかけていただきます。

これは珍しい!

甘酢しょうゆ餡は朴葉の香りともマッチしており、寿司の味を引き締める良い塩梅です。

 

 

「うちは昔からこの餡をかけて食べてたの。

毎年一緒につくるお友だちからも珍しいと言われました。夫はこれがないと物足りないくらいだって、ふふふ。

 

 

昔はね、朴葉寿司はご馳走でしたよ。

毎年田植えが終わった頃に富田のお祭りがあって、地域の青年団が芝居をやっててね。そのときは家族一同で出かけて、芝居を観ながらお母さんが作ってくれた朴葉寿司を食べるのが恒例だった。楽しい思い出ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吉村さんのお宅の庭にも朴の木があります。

いつでも朴葉を採ってきて朴葉寿司を作って食べられるように、恵那の家庭ではよく見かける光景です。

 

 

そしてそれぞれの家庭でつくる朴葉寿司はひとつとして同じものはないと言えるほど、それぞれの家庭の味、懐かしの味わいがあります。

恵那で育った子は、それを食べればお母さんを思い出し、ふるさとの景色がいっぱいに広がって温かい気持ちになります。

 

 

郷土の食、朴葉寿司を家庭で作り伝えていくことで、大人になった今の子どもたちに癒しをもたらすことに繋がるのではないかと思ったりするのです。

 

 

 

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