2023.6.7
6/11「道の駅おばあちゃん市・山岡」で朴葉寿司を販売します!
2019年6月27日
朴葉寿司を食べたことありますか?
朴葉寿司は恵那地域の郷土料理で、魚や山菜など旬の食材をちらしたチラシ寿司を朴の木の葉っぱで包んだものです。
朴葉に殺菌作用があり、包むことで携帯に便利なので、昔は田畑や山仕事の合間に食べられていました。
田植えが終わると地域の農婦が集まって朴葉寿司をつくり、田の神様に供え豊作を祈願し、家々に持ち帰って食べる「季節ごとの行事食」でもありました。
岐阜県でも、東濃、中濃、飛騨と形態がそれぞれ違い、おおまかに分けると、
寿司飯の上に季節の具材をちらすチラシ寿司を朴葉にのせ四角く包む東濃地方の朴葉寿司。
具材とすし飯をまぜた混ぜ寿司を朴葉にのせ半分に折って包む中濃、飛騨地方の朴葉寿司。
また、具材や作り方は各家庭によって違い、どこの朴葉寿司を食べても同じ味はないくらい、朴葉寿司は「家庭の味」です。
今回は、鎌田直子(かまだなおこ)さん、中神典子(なかがみのりこ)さん、西尾好子(にしおよしこ)さん、小椋日南恵(おぐらひなえ)さんらが集ってつくる朴葉寿司つくりに、
古井千景(ふるいちかげ)さん 23歳 が参加して、生まれて始めて朴葉寿司を作りました。
千景さんは大学時代に、数々のイベントや、学生団体やNPO、ベンチャー、中小企業でのインターンシップを通して、ローカルに暮らす・挑戦する人たちが好きになり、憧れるようになりました。
「今あるものの魅力を伝えること、もっと魅力的にすること、新たな魅力を作ること」、
平たくいうと編集と企画の仕事をメインに取り組んでいます。
現在は、NPO法人えなここが運営するローカルメディア「おへまが」の二代目編集長。
この日、作り上げた朴葉寿司は88個。米は2升ちかく用意していました。
会場に到着するなり、米を炊き、テキパキ動くベテラン主婦たち。
千景さんは彼女たちからの指示をうけ、100枚以上ある朴葉をきれいに洗っていました。
「6月後半の朴葉は大きく厚く、葉裏の葉脈に沿って虫の卵がついていることがあるから。流水でスポンジを使って洗ってね。
あまり力を込めると葉に傷がつくからね、ちょうどよい力加減で。」
葉っぱを洗うにも的確なアドバイスが飛びます。
洗った葉っぱについた水滴は清潔なタオルできれいにふき取ります。
葉っぱが用意できたら、次は寿司酢と具材づくりの作業にとりかかります。
分量の酢と塩を鍋に入れ、木じゃくしでかき混ぜながら弱火にかけます。
火にかけるのは少しの時間。塩が完全に溶けなくても混ぜていれば余熱で溶けていきます。
塩が酢に溶けたら砂糖を入れます。
「時間差で入れるのは塩と砂糖の溶ける温度や時間が違うから。
箸より面積の大きい木じゃくしを使った方が早く溶けるのよ。」
具材には甘辛く煮た椎茸、きゃらぶき、酢でしめたサーモン、錦糸卵、紅しょうが、青じその実、でんぷが入ります。
紅しょうが、青じその実、でんぷは、地元のスーパーで買ってきたもの。
この時期になるとスーパーには「朴葉寿司コーナー」ができ、様々な寿司具材を手軽に手に入れることができます。
椎茸の煮ものときゃらぶきは前もって、ベテラン主婦らが分担して手作りされていました。
錦糸卵はその場でつくります。
卵を割ってよく解いたところに少しだけお酢を入れます。
黄色見が強く、さらっとした卵液をつくりだすためです。薄く油を敷き温まったフライパンに薄く流して、表面が乾いてきたら、コロコロと巻くようにしていきます。
「両面焼かなくても大丈夫よ、こうすると糸状に切るのも楽でしょう。」
炊きあがったご飯に寿司酢を混ぜて、すし飯は準備完了です。
さて、ここから仕上げていく作業にとりかかります。
きれいに洗った牛乳パックの底から2センチほどのところからカットして、ご飯を均等によそうための道具も手作りします。
「今日は2つのやり方を教えるわよ。
ひとつ目は、アツアツのすし飯を朴葉にのせて、いったん二つおりにたたみ冷めるまで待ちましょう。殺菌作用が高まり、朴葉の香りがご飯に強くうつるからね。
ほら、開けると朴葉が茶色く変色しているでしょう。効果が上手くでた証拠よ。
もうひとつはパックに具材をすべて入れるやり方。
「美しく、完成したものを思い浮かべながらね。色味がきれいなものから入れていくといいわ。
最後にご飯をよそって、ひっくり返したら…ほら。」
代々受け継がれてきた家庭の朴葉寿司の味、作り方があります。
こんなふうに集ってつくると、それぞれ好みの具材、作り方を情報交換することもできます。
ベテラン主婦でも新しい発見があり、手を動かしながらのおしゃべりにも花が咲いて、本当に楽しそう。
88個の朴葉寿司は、あっという間に出来上がりました。
最後はみんなでティータイム。
手作りの漬物、こだわりのコーヒー、甘い駄菓子に、作り過ぎた錦糸卵がお茶菓子です。
「へぇ~!坂本の子なの!私の実家も坂本だよ!坂本のどの辺?」
今度はベテラン主婦から千景ちゃんへの質問タイム。
美味しいおやつと楽しいおしゃべりに時間も忘れてしまいます。
郷土食を継いでいくのは、世代の違う人と関わらないとできないこと。
毎年のことを思うと、ちょっと面倒に感じてしまうこともあります。
でも、やってみると楽しい発見がたくさん。
私たちの地元の魅力を再確認することばかりです。
美味しい記憶と笑い声が、これからの朴葉寿司をつくる人に刷り込まれていきますように。