石川農園
石川 右木子 さん
農業人
恵那農業高校 食品科学科 花咲か里山プロジェクト
恵那農業高校 食品科学科「花咲かみつばち倶楽部」が、恵那市、地元企業と共同で取り組んでいる「花咲か里山プロジェクト」。
耕作放棄地を利用して、エゴマの栽培・収穫・加工販売までを自分たちで作業、養蜂生産者と一緒にミツバチと地域農業に関係するいろいろな研究をしたりしています。
このプロジェクトの主人公である「花咲かみつばち倶楽部」は、恵那農業高校 食品科学科の3年生を中心に構成されており、3つのグループで役割分担をしながら1年間の作業を行います。
beeリサーチ班
…… みつばちの管理・中部大学と連携して蜂蜜の成分分析・ほ場付近の植生調査
ハニープロデュース班
…… 蜂蜜を利用して、商品開発・生産・販売
花咲か里山プロジェクト班
…… エコグリーンツーリズム運営・えごまる(エゴマで作った肥料)生産
取材に伺ったのは5月上旬。
beeリサーチ班に在籍する今川 歩くん、安藤 美咲さん、土屋 友里絵さんら3名が、指導教諭 若葉 亮先生と共に、巣板から蜜を絞り出す時期を確認する作業を行っていました。
エゴマを植える前の畑にはれんげ・しろつめぐさが広がり、春の美しい田園風景があります。
みつばちたちは5月の蜜源である花々から、せっせと蜜を運んでいました。
ー 花咲か里山プロジェクトを立ち上げた経緯を教えてください。
(若葉先生)
「花咲かみつばち倶楽部は、1年生の必修科目で農業と環境という授業があります。
その科目の内容は、農業の基礎や自然環境との関わりなどについて学ぶのですが、その中の「作物の特性と栽培のしくみ」という単元で訪花昆虫の受粉により、農産物が実をつけ、野生植物が子孫を残せることを教えています。
しかし近年、蜜源の減少や農薬の被害、里山の荒廃などみつばちを取り巻く環境が悪化しています。
そこで3年生の課題研究という科目で、農業生産と里山の生態系の維持に必要なみつばちが住む里山の環境を守りたいという思いからプロジェクトが立ち上がりました。」
ー 高校生が地域社会と共同することのメリットは何ですか。
「農業高校での学びが実際に地域で形になることで、教室の中だけではできないことを学ぶ機会となっていると思います。
また、生徒が地元の魅力や良さに気づくきっかけとなったり、農家の方々、養蜂家の方、食品メーカーの方、市役所の職員の方、多様な職業の方との交流を通して、その職業の業務内容ややりがいを知ることができ、進路選択の幅が広がっていると思います。
実際にこのプロジェクトに関わった生徒で養蜂業界を志望している生徒もいます。」
若葉先生の指示のもと、生徒の今川くんは、慣れた様子でみつばちの巣箱から巣板を取り出し、みつばちの様子を観察。
安藤さんと土屋さんも同様に、巣板にびっしりついたみつばちたちの動きと、蜂蜜の様子に目を凝らしています。
ー 花咲かみつばち倶楽部の魅力は何ですか?
(安藤さん)
「地域の人と関われることです。
私は地域を知ることに楽しさを感じます。深く関わることで課題が見つかり、自分にできることは何か考えることができます。」
(土屋さん)
「2年生の時、全国規模の大会で活動報告をする先輩たちを見て憧れを感じていました。大変だけれど、挑戦してみたいと思いました。」
(今川くん)
「1年生の時、家業の飲食店で親の手伝いをしている姿を見て先生から活動に参加するよう声をかけられました。自分は3つの班すべての活動に参加しています。地域にかかわる活動に興味があります。養蜂の仕事も地域に関わることのできる活動のひとつと感じています。」
花咲かみつばち倶楽部のこれまでの活動は様々ありますが、最近の主な活動は、
東京の国連大学にあるレセプション・ホール・ウ・タント国際会議場にて開催された『第4回 全国ユース環境活動発表大会』において発表。
全国8地域の地方大会上位各2校が出場し、16校中、準グランプリとなる『独立行政法人環境保全機構理事長賞』を受賞しています。
この大会は、全国の環境活動を実践する高校生等の団体を対象に、環境に関わる活動であって、
「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標達成に向けた取り組みを広く公募し、
高校生等の環境活動に対し、自主性 着眼点 協働 改善度 発信力の観点から総合的に評価されたものです。
また、エゴマの栽培ノウハウを習得した高校生が市民向けに「エゴマ塾」を開催し、エゴマ栽培普及に貢献しています。
▼「花咲か里山プロジェクト エゴマ塾はじまりました」たべとるの記事
ー これから、恵那の里山がどんなふうになっていくと良いと思いますか?
(生徒)
「恵那の里山には多彩な動植物が存在し、棚田などの自然豊かな農村風景も残っていてとても魅力ある里山だと思います。
しかし、耕作放棄地や農業の衰退といった問題もあります。
そのために、今ある豊かな自然を守りながら農業が盛んな里山になっていくと良いと思っています。
また、れんげ畑など里山特有の景観が多く見られる里山になっていってほしいです。」
▼ 花咲かみつばち倶楽部の活動をチェック