恵那の食に挑戦する 農業人

かさぎゆず組合

かさぎゆず組合のみなさん

  • 農業人
さかぎゆず組合のみなさん

 

恵那市笠置町は、岐阜県の二大ゆず産地。

木曽川の川沿いで温暖な気候を生かして、昔から自宅の横にゆずが植えられ、「ゆべし」や「ゆず湯」にして楽しんできたそうです。

 

ゆずを通じた町の活性化を目指し、無農薬ゆずの栽培・販売をおこなう「かさぎゆず組合」のみなさんにお話を伺いました。

 

 

かさぎゆず組合 ゆず畑

 

 

ーかさぎゆず組合がはじまった経緯を教えてください。

 

「平成18年からはじまった恵那市まちづくり事業で、笠置町活性化委員会産業部会で何か地域の特産品を作ろうと話になりました。松茸・ほうばの木・ゆずなど色々と模索をした中で、結果的に残ったのが柚子。その頃から、ゆずの木を植えたり、ゆべしやゆずペーストなどに加工したり、ゆず祭りをはじめました。

 

ただ活性化委員会だと2年に1回役が変わっていってしまうからということで、平成24年7月に「かさぎゆず組合」を組合員45人・役員10人で設立しました。組合員は笠置町内の柚子の木を持っている人、役員の10人で商品開発・販売をしています。」

 

 

ー笠置町は昔からゆずが採れる地域だったんですか?

 

「笠置町の河合栃久保地区には昔から、各家庭に一本や二本くらいは植えられていました。いつごろからあるかっていうのは誰もはっきり分からんけどね。

 

恵那市の中でも栃久保地区は海抜270mくらいで、一番標高の低いところです。すり鉢状の盆地の地形で、南向きの急斜面で日当たりがよくて水はけがいい。前には木曽川が流れていて、山と川の高低差があるから霧が立ってあがるし、昼夜の寒暖差が大きい。こういう環境が、ゆずにとってはいい環境なんです。」

 

 

かさびゆず組合 看板

 

 

ー現在、どれくらいのゆずを育てていますか?

 

「今は地域全体で、1000本弱くらいを育てています。

収穫量は今までの最高で10トン、去年は不作で4トンだったけど、今年は10トンを超えるといいなと思っています。1年おきに表裏がくるからね。

柚子は、種から植えて17年経たないと実がならないんですよ。でもそんなに待ってられないから、今は接ぎ木の苗を仕入れて組合員に植えてもらっています。接ぎ木の苗だったら5、6年で生りだすかな。」

 

 

ー収穫までに年月がかかるんですね。

組合のみなさんがこだわっていること、大事にしていることを教えてください。

 

「柚子っていうのは、すっぱさと香り、皮が勝負だと僕らは思います。これがちゃんと引き立って、でもどこかに甘みが隠れているような。それから適度な大きさと、肌がきれいなことが大事。

 

やっぱり口に入れるものだから、組合としては無農薬にこだわっていて、組合員には農薬を使わず育てることを推奨し、無農薬の物しか(買取を)受け付けていません。」

 

 

かさぎゆず組合 柚子

 

 

「ただ、無農薬で見た目をきれいに保つのは本当に大変です。100個に3個くらいあればいいレベル。柚子が病気にならないために草刈りは大事ですよ。春と秋に肥料をあげたり、8月は摘果作業、放っておくと木が上へ上へと伸びていってしまうから、横へ枝が伸びるように剪定します。柚子は楊枝くらいのトゲがあるから、枝が込み合っている状態のままだと風で揺れた際にガリガリ実をこすって肌が痛んでしまって、表面のきれいな柚子にならないからね。」

 

 

ー恵那のあちこちで笠置のゆずを使った商品を見かける機会が増えましたが、どんな商品を販売しているんですか?

 

「ゆずの玉としての販売(道の駅、えなてらす、グリーンセンター、業者向け)、一次加工品としてはゆずの皮、砂糖有無それぞれのペースト、果汁を販売しています。

 

僕らは笠置町をPRしたいから、常時供給できる自主商品として「ゆず羊羹」や「ゆずゼリー」を自分たちで作っていて、お祭りの時などの限定で「ゆずまんじゅう」や「ゆず鮎」も作っています。「ゆず香」という和三盆の干菓子も最近始めました。

 

出荷した一次加工品で、地元企業さんがゆずかりんとう、ゆずポン酢、ゆずジュースなどを作ってくれています。笠置のゆずがこうして注目されるようになってきたのは、恵那の料理人さんやお菓子屋さんなどが、今の人に合うお菓子や料理、商品として使って広めてくれるようになったおかげです。」

 

 

かさぎゆず組合 加工

 

 

ー今後の目標や挑戦したいことを教えください。

 

「ゆずの粉末の一次加工商品を近いうちにやっていきたいです。

それからゆずの種を使った商品、ゆずオイルをやっていきたい。いいオイルをとるのは難しくて、とても貴重なんです

 

要は、僕らはゆずを丸ごと使いたいと思っています。今使っているのは皮と果汁で、種・果肉・綿は使っていない。もったいな状態です。せっかく育てたゆずだから、100%使い切ることを目指していきたい。原料商品として全て買ってもらえる状態にすると、もっと生産者からの買取単価を上げることもできるし、逆に商品単価は下げることができる。

 

そういうことをしながら、たとえ少ない人数でも従業員として年間を通じて雇用できるような状態を目指していきたいです。

 

里山地域の、特に畑の荒廃地をつくらないために、もっともっと柚子を植えたいし、捨てるところなく柚子が売れて、荒廃地が減って、雇用が生まれて、地域に人が住んでくれること。そういう良いサイクルになればと思います。」

 

 

【販売情報】
  【えなてらす】恵那市大井町286番地の25(JR恵那駅東隣り)電話:0573-25-4058
  【なかのほう不動滝直売所】恵那市中野方町須里40-1 電話:0573-23-2166

 

 

生産者情報

かさぎゆず組合

TEL 0573-32-1610

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