恵那の食に挑戦する 農業人

ぜんちゃんふぁーむ

吉村 悟さん

  • 農業人

 

 

恵那市岩村町富田地域は、平成元年に「農村景観日本一」と全国の環境問題を専門に研究している京都教育大学・木村教授に称され、それをマスコミが報道し一躍脚光を浴びました。

 

四季を通じて景色の移り変わりは素晴らしく、木々の色合いや、水田と青空に広がる白い雲とのコントラスト、黄金色に輝く稲穂、凍てつく寒さや雪景色が郷愁を誘います。

 

そんな美しい岩村盆地を一望できる丘の上に、世界各国の様々な品種の葡萄を栽培する「ぜんちゃんふぁーむ」があります。

 

背景には岩村城跡を支える城山や三森山がそびえ、源流水が農園を潤しています。この土地の寒暖差と水の清らかさは、葡萄が育つのに絶好の土地柄。

 

「岩村に珍しい品種の葡萄を揃えた葡萄園がある」と全国各地の葡萄好きが集まり、その美味しさと景色の美しさに魅了されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

農園を訪ねた5月中旬は、まだ長袖シャツが必要で、葡萄の木もこれから枝を広げ葉を茂らせ実をつけるところ。

 

甘い香りが広がる農園を想像しながら広い農業用ハウスに入ると、聞いたことのない名前の葡萄の木がたくさん!

 

マニュキュアフィンガー、雄宝、マリオ、藤稔、シナノスマイル…ぜんちゃんふぁーむには約50品種の葡萄が栽培されており、まるでぶどうの博物館。

 

まぼろしの葡萄と呼ばれる品種もあり、他の産地では見られない楽しさ、美味しさがあります。

 

想像もできないような大きさや色の葡萄がハウスいっぱいに広がっていると思うと心もワクワクし、実りの秋にはリピートして訪れたい場所のひとつです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「栽培開始以来、化学肥料不使用、化学農薬はできるだけ使用せず、除草剤不使用の草性栽培で育てています。

 

昔ながらの土づくり、山草を全面に3cm程敷き、厳選した肥料を使用しています。

 

ぎりぎりまで減農薬で育てていますから、収穫できる量は減ります。

 

でも、自分も安心して食べたいぶどうを作っていますので、農薬は慣行栽培の6割以上削減し、最新の品種から、珍しい品種を栽培しています。

 

そして、どんな場所で育ったのかを見ていただき、その栽培方法に共感していただいた方々に、お越しいただいています。」

 

 

 

 

 

 

そうお話ししてくださったのは、吉村悟さん。

 

父は販売することもなかったですが、手塩にかけたブドウをもう少し幅広い人に知ってもらい、食べてもらいたい。

 

そう考え、2本ののぼりを買ってきて、ホームページを作り、2003年、こうしてぜんちゃんふぁーむがオープンしました。

 

平日は都市部の会社に勤めのため、週末起業のスタイルをとりましたが、今はUターンをし、専業になりました。

 

 

「以前住んでいた場所は街中で、いったん離れるとその良さがよくわかるものです。

 

田舎暮らしや、富田の風景も情報発信しています。

 

SNS等を利用して、生育状況や、農産物の販売状況、ブルーベリー狩りの予約状況も、その都度お知らせしています。

 

昨年からは、標高600mの小高い場所にウッドデッキやハンモックを用意して、訪れたお客様が農園でゆったり滞在していただけるような工夫をしました。

 

そこではブルーベリー狩りができるよう、新たな農園をつくっています。

 

ブルーベリーもいろいろな品種を栽培していますから、食べくらべて楽しむことができますよ。

 

葡萄園のある場所から歩いて移動すれば、ちょっとしたハイキング気分も味わうことができます。

 

自然の中で一日中過ごして、英気を養っていただけたら良いですね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取材時にはかわいい花をつけていたブルーベリーの樹。

 

品種が違えば花の形も違って、実のなる前でも楽しむことができます。

 

 

家族経営の小さな農園ですが、訪れる人々の心をつかむ景色や清々しい空気、水、何よりも珍しい品種の葡萄、ブルーベリーでお腹を満たすことができ、何度も何度も訪れてみたくなるような場所づくりがされている、人と農村を深く繋ぐ農園でした。

 

 

 

生産者情報

ぜんちゃんふぁーむ

TEL 090-9121-1117
ホームページ https://zenchanfarm.com/

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